護送船団方式 2018 10 21

 「護送船団」とは、戦争の時に、
物資を輸送する船団の中で、
最も速力の遅い船に合わせて航行することにより、
船団全体を守ったことから、この名前がついたとされます。
 さて、松原聡氏の著書で、
「90ページでもよくわかる日本経済」(2003年)から引用しましょう。
 金融機関は、当時の大蔵省の護送船団方式と呼ばれる保護の下に、
まともな競争を行わず、ぬるま湯のような環境の中にありました。
 大蔵省は、弱い金融機関にあわせて、
強いはずの大銀行を規制しながら、
金融業界全体を守ろうとしたのです。
 たとえば、欧米では、
20年前から当たり前だったATMの24時間運用が、
日本で大きく遅れたのは、
強い銀行が、このサービスを始めると、
24時間化ができない弱い銀行が経営に悪影響を受けるからというものでした。
(引用、以上)
 あれから15年も経過しました。
金融業界は、何も変わっていない感じがします。
しかし、世界は、大きく変わりました。
 私は、2003年に銀行を「構造不況業種」に指定して、
大規模な改革を推進すべきであると主張しましたが、
15年経っても何も変わらなかったのです。
しかし、世界は、この15年間に急激な変化がありました。
 鎖国をしますか。
護送船団方式を続けたいならば、
「経済的な鎖国」をする必要があります。
 しかし、自由貿易を主張しながら、
金融サービスにおいては鎖国というのでは、筋が通らないでしょう。
 日本は、自由貿易において、大きな利益を受けながら、
金融分野には非関税障壁があるというのでは信用を失います。
 今や、金融先進国になったアフリカ諸国に視察団を派遣しますか。
明治時代は、ドイツに視察団を派遣したのに、
今や、アフリカ諸国に視察団を派遣するとは、
世界は、大きく変わりました。

金融ガラパゴス諸島 2017 10 29
「日本は、また周回遅れになってしまった」
 舞台は、アフリカのケニアから始まる。
エムペサ(M-Pesa)とは、「M」がmobileのM、
「Pesa」がスワヒリ語のマネーのことで、
2007年にアフリカのケニアのモイ大学の学生が開発した、
携帯電話向けのソフトウェアであり、
携帯電話だけで、「送金」、「貯蓄」、「支払い」ができるクリプト・カレンシー(暗号通貨)で、
銀行口座を持たないアフリカの人々に、あっという間に広まった。
 この学生のソフトに目を付けたのが、
イギリスの携帯電話会社のボーダフォンだった。
 そして、ボーダフォンとケニアの携帯電話会社が組んで事業化して、
これにIBMが入ってきてソフトに磨きをかけて、
クリプト・カレンシーとして完成させたのが、2012年だった。
 現在、ケニアで1700万人、タンザニアで700万人、
その他ボーダフォンが活動するアフリカ諸国で利用者が広がっている。
 日本よりも先にデジタル通貨先進国になったアフリカ諸国では、
人々は、エムペサというデジタル通貨を各人の携帯電話に貯め込んでいる。
 日本は、金融分野において「ガラパゴス化」して、
アフリカ諸国に対しても、「周回遅れ」になってしまった。
(以上の文章は、下記の本から引用しました。一部加筆してあります)
書名 ビットコインは「金貨」になる
著者 石角 完爾  朝日新聞出版




























































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